今回は、シャルコマリートゥース病に対する、一般的なリハビリの内容についてまとめてみました。
一般的なリハビリの内容と、pippiの場合(症状や取り組んだ内容)を照らし合わせながら記載しています。
参考になれば幸いです。
リハビリテーションの目的と重要性
シャルコマリートゥース病は、末梢神経の髄鞘(ミエリン)や軸索が変性し、神経伝達がうまくいかなくなります。
その結果、足首がぐらついたり、歩行が不安定になったり手先の細かい動作が難しくなったりします。
徐々に筋力や感覚の低下が進行するため、長期的な対応が求められます。

pippiの場合は、2歳の頃から下肢痛(関節痛・神経痛)があり、成長するにつれて腰痛も増えていました。股関節・足関節は硬く、家の周りのお散歩程度の距離も疲労感や痛みが出現するため、すぐに抱っこやおんぶが必要でした。足首を捻って倒れたり、膝折れによる怪我も多かったし、他に、腰痛・下肢痛の出現でなかなか座位が保てない等生活に支障をきたしていました。
シャルコマリートゥース病のリハビリの目的
- 筋力低下の進行を緩やかにする
- 関節拘縮や変形の予防
- 転倒のリスクを下げる
- 残存機能を最大限に活用する
- 日常生活動作(ADL)の維持・向上
シャルコマリートゥース病は、下肢の筋力低下や足関節の変形が起こりやすく、放置すると歩行能力の低下や車椅子生活へとつながるリスクもあるため、早期からの継続的なリハビリが推奨されます。
リハビリテーションの具体的な内容
シャルコマリートゥース病に対するリハビリは、個々の症状や進行度に応じて内容が変わりますが、主に以下のようなアプローチが取られます。
運動療法(理学療法)
- ストレッチ
足首や指の関節が硬くなるのを防ぐため、ふくらはぎや足底筋などの柔軟性を保つストレッチが有効です。 - 筋力トレーニング
重度の筋力トレーニングは避ける必要がありますが、軽度~中程度のレジスタンストレーニングで筋力低下を緩やかにできます。 - バランス・歩行訓練
歩行補助具(足底板、装具など)の使用も含め、転倒を防ぎながら安定した歩行を目指します

CMT友の会という団体や海外のシャルコマリートゥース病を抱える患者団体が、エクササイズ動画をUPしているため、紹介します。

主治医から、ストレッチの有効性を伝えられていたため、pippiは日々のケアとして、ストレッチを習慣化することから始めました。
作業療法(OT)
- 日常生活動作の訓練
ボタンを留める、字を書くなどの細かい手作業が難しい場合に、代替方法や補助具の使用を練習します。 - エネルギー保存の工夫
疲労しやすいため、効率の良い動作や休息の取り方を指導してもらいます。 - 座位バランスの改善や補助具の提案
身体機能の構造的側面(筋力・関節可動域・感覚等)を評価し、座位バランスを向上させるための訓練や、姿勢保持装置の検討など、無理なく座位を保持出来るよう環境設定の方法など提案してもらいます。

小学生になり机上作業が増えた頃、pippiは腰痛・下肢の神経痛のため椅子座位が苦痛で仕方ありませんでした。そんなとき、見つけたのは作業療法士が開発・設計した pint!

腰周り~股関節周り、大腿の裏まで優しく包み込むようにサポートしてくれるpint!。使い始めてからは座位保持時間が伸び、集中して宿題に取り組む時間が増えています。愛用して4年経ちます。お値段はそれなりですが、カバーの洗い替えができ、耐久性も高いため、おすすめのアイテムです。
装具療法
- 足首装具(AFO)
足関節の背屈障害により足が引っかかりやすくなる「下垂足」に対して、AFOを使用することで歩行を補助できます。 - インソールや靴の工夫
外反母趾やアーチの低下に対して、個別に調整された靴や中敷きを使うことで快適性と安全性が向上します。
日常生活での工夫とセルフケア
シャルコマリートゥース病の患者さんにとって、日々の生活の中でいかに症状と向き合うかが生活の質に大きく影響します。
セルフケアと日常生活での工夫を紹介します。
- 疲労管理
症状が進行していなくても、疲労は動作能力を大きく低下させます。適切な休憩や睡眠を確保することが重要です。 - 転倒予防
家の中では段差をなくしたり、滑りやすい床材を避けたりといった安全対策が必要です。 - 気候への配慮
シャルコマリートゥース病の一部の型では寒冷により症状が悪化することがあるため、防寒対策も大切です。 - 定期的な診察
リハビリや整形外科、神経内科のフォローアップを受けることで、状態変化に迅速に対応できます。
今回は、シャルコー・マリー・トゥース病のリハビリについてまとめてみました。
シャルコマリートゥース病は、現在のところ根本的な治療法は確立されていませんが、症状の進行を遅らせ、日常生活をより快適に過ごすためにリハビリが欠かせません。
出来るだけ早期からのリハビリと生活環境の整備により、身体機能を維持し、出来ることを増やすことが可能です。
本人の努力だけでなんとかしようとせず、どうすれば生活の質が向上するのか、あらゆる手段を活用していきたいものですね。
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